政権発足前には対中ソフト路線に戻るとの観測も多かったが…… (C)AFP=時事

 米バイデン政権発足後、100日が経過して、バイデン外交の姿と大戦略(グランド・ストラテジー)のような方向性が大分見えてきた。

 4月28日、ジョー・バイデン大統領は、議会の上下両院合同会議で初の施政方針演説を行った。100日間の実績として「米国救済計画」による「腕にワクチン、ポケットに給付金」を強調した。具体的には、2億2000万回分以上のコロナワクチンの準備、全世帯の85%に1400ドルの救済給付金、そして100日で130万件以上の雇用である。

 今後の計画はさらに野心的で、中国などとの競争で21世紀を勝ち抜くために米国の再構築を掲げ、公共交通、インターネット、送電網などのインフラ投資が必要だとして、2兆ドル規模のインフラ投資法案への協力を訴えた。さらに、教育や育児、有給の家族休暇を強化する1兆8000億ドル規模の「米国家族計画」を発表した。すでに成立した「米国救済計画法」と併せて、3つの法案の総額は6兆ドル規模となる。

「中間層のための外交政策」で中国と競争

 この演説で外交政策はどのように訴えられたのか? 興味深いのは、内政・経済と外交を一体的に主張する独特のレトリックだ。バイデン氏にとって、自らの実績として強調した内政・経済の対策も、彼の主張する「中間層のための外交政策」と一体化している。その中心には、中国との競争が位置している。バイデン演説では、自分が提案する投資は、「中国を含め、すべての国が世界経済の中で同じルールで競うことを意味」し、「中間層に利益をもたらす外交政策」を前進させると主張した。

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