「ポスト李克強」の本命か当て馬か――中国「対米交渉役」交代報道の波紋

IN-DEPTH【ニュースの深層】

執筆者:竹内健二2021年5月20日
劉鶴副首相(右)と胡春華副首相(左)の交代なるか(C)AFP=時事

 

 米中貿易交渉の中国側責任者が劉鶴副首相から胡春華副首相に交代する可能性がある、と米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた(5月13日)。

 このニュースは中国本土の報道や外交関係者の間では、意外感をもって受け止められている。「胡氏ではまだ役者不足ではないか」というのが、筆者や周囲の率直な感想だ。

 目下、米中貿易協議は停滞している。ジョー・バイデン新政権が中国に対し、ドナルド・トランプ前政権と同等か、それ以上に強硬な姿勢で臨んでいるのが原因だろう。2020年2月に発効した米中合意「第1弾」は、半年ごとに合意の進捗状況を高官協議で確認する取り決めだが、昨年8月の電話協議以降は開かれていない。

 近く開催されるとの観測はあるが、その場合でも、米側が対中制裁関税の撤廃に言及する可能性は低い。中国としては相当にタフなネゴシエーションになるはずである。

 中国商務省の報道官は13日の記者会見で、今回の報道について「事実ではない」と真っ向から否定した。こうした外交絡みのケースでよく使われる「提供できる情報はない」といった言い回しよりも強いトーンだ。

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