インド「コロナ経験者」が語る「人災」と「ガバナンスの欠如」

執筆者:プレム・モトワニ(PREM MOTWANI)2021年5月21日
ニューデリーにつくられた臨時受け入れ施設(C)AFP=時事

 

 4月に入ってから猛威を振るったインドの新型コロナ第2波が、全世界を驚かせた。筆者が住んでいる首都のデリーの陽性率は33%に達し、中には50%の都市もある。しかも、検査率が高くないため、実際はもっと高いはずである。

 人工呼吸器やICU(集中治療室)のある国立病院が不足していることで、4月中旬から死亡者が急増し、現在(5月17日)ではインド全土で連日4000人を超える死者が出ている。

 デリーを例に取ると、酸素濃縮器や酸素ボンベ付きのベッドが確保できなかったために車の中や道端で酸欠によって死亡する人も少なくない。

賄賂を要求する民間病院

 インドは医療インフラが未整備で、政府がGDP(国内総生産)の1.29%(日本は約11%)しか医療に予算を費やしていない。

 基本的に国立病院は誰でも無料で利用できるが、皆が殺到して順番待ちとなるため、多くの民間人は健康保険に加入(しかし、加入者は都市部で20%、農村では15%程度である)し、民間病院を利用する。

 人口1000人当たりの病床数が1床であるため、インフラがいかに不足しているかは一目瞭然である。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。