5月14日、記者会見する菅義偉首相(左)と尾身茂・基本的対処方針分科会会長。当初は緊急事態宣言の拡大はしない方針だった   ©︎時事

   菅義偉首相の政策決定が「何でもあり」になってきた。5月14日、これまで政府の方針を追認するだけと見られてきた「基本的対処方針分科会(尾身茂会長)が、前日に決まっていた諮問案を覆し、政府側が諮問案を出し直す騒ぎがあった。

   当初、政府側は、緊急事態宣言の拡大はせず、群馬、石川、岡山、広島、熊本の5県にまん延防止等重点措置を拡大適用することを決めていたが、専門家の間から異論が噴出。西村康稔経済財政担当相が中座して、菅首相や関係閣僚と協議した結果、一転して北海道、岡山、広島の3道県を緊急事態宣言の対象に加えることになった。

   西村大臣が会議の様子を伝えると、菅首相は「専門家がそう言うのなら良いんじゃないか」と方針転換を指示したという。専門家たちが遂に反旗を翻したという報道が多いが、結果的に、菅首相や西村担当相、田村憲久厚生労働大臣らの「政策決定の軽さ」が浮き彫りになった。「仮にも首相が決断したことが、一夜でひっくり返されるというのは前代未聞、あり得ない話だ」と官僚OBは苦笑する。

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