5月10日のハマースによるロケット砲攻撃に始まった、イスラエルとガザのハマースとの戦闘で、5月20日、双方がエジプトの仲介による停戦の受け入れを発表した。

イスラエルの現地時間5月21日午前2時(日本時間同日午前8時)に発効した停戦がもし持続すれば、今回のガザでの戦闘は11日間でとりあえず終了することになる。

今回の戦闘は、「ガザ戦争(Gaza Wars)」と呼ばれる、イスラエルとハマース統治下のガザとの限定的な戦争の4回目ということになる。これまでの「ガザ戦争」と比べて、今回はどのような特徴があるのか。第4次ガザ戦争から、イスラエルとハマースの軍事的関係、イスラエルとガザ地区の双方の内政や、イスラエル・パレスチナをめぐる外交にどのような変化が生じていると見るべきなのか。取り急ぎまとめておこう。

ガザのハマース支配と「ガザ戦争」

現在のガザの統治とそのイスラエルとの関係は、イスラエルが2005年8−9月にガザ占領を終結し、地上部隊を一方的に撤退させた時点に設定された構図の中で展開している。

パレスチナ自治政府との合意と統治の受け皿の設定を十分に行わずにイスラエルが撤退したことで、ヨルダン川西岸ラーマッラーを暫定的な「首都」とするパレスチナ自治政府を支配する主要派閥ファタハと、ガザ地区で優勢なイスラーム主義運動の武闘派ハマースの、選挙と戦闘の両面での競合が生じた上で、ハマースがガザ地区の支配を単独で掌握したのが2007年6月である。

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