佐賀県玄海町の「浜野浦の棚田」で行われたオンライン婚活イベント。結婚=出産ではないが、2020年の婚姻数は戦後最少を記録した[農水省提供] ⓒ時事

 少子化が危機的な状況に陥っている。2020年の出生数は84万832人と過去最少となった。政府は新型コロナ禍の影響が出始めていると分析するが、影響が本格化するのは21年からだ。少子化の進行歯止めをかける施策はあるのか。

 厚生労働省が6月4日に発表した人口動態統計速報によると、20年の出生者数は84万832人と前年比2.8%の減少となる。1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均である合計特殊出生率は1.34人と、前年の1.36人から5年連続で低下した。

 これまでの出生数の推移を見ると、16年に年間の出生数が100万人を割り込み、その後も出生数の減少が進んでいる。合計特殊出生率も15年には1.45人に増加する局面があったが、その後は低下が続く。

 20年の出生数について、坂本哲志少子化対策担当相は4月26日の経済財政諮問会議で「20年12月頃から新型コロナ感染症の影響が出始めている」可能性を指摘した。この指摘自体は間違いではないものの、妊娠から出産までの期間を考えれば、20年通年での新型コロナの影響は限定的だ。

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