サミットでの日本の存在感は、あったのかなかったのか (C)AFP=時事

 2021年6月に開かれた英国コーンウォールでのG7(主要7カ国)首脳会合とベルギー・ブリュッセルでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会合は、ともに宣言文書で中国にいかに言及するかが注目された。

 歴史を振り返ってもG7やNATOにおいて、中国が議題としてこれほどまでに取り上げられたのは初めてだった。採択された文書での中国への言及は、分量的にもこれまでで最も多かったし、内容面でも最も踏み込んだものだった。

 しかし、「G7が台湾に初めて言及」や、「対中が軸」などの文字が見出しに躍り、中国ばかりが話題になるようでは、G7やNATOの理解として、バランスがとれたものとはいえない。そもそも、G7やNATOにおける最大の関心が中国であるわけがない。

 また、G7に関しては、台湾への言及を含め、厳しい対中姿勢を日米が主導し、「中国との経済関係を重視する欧州」は消極的だったかのような報道が少なくなかった。それはどこまで妥当な理解だったのだろうか。結論を先取りすれば、今回のG7やNATOを通じて、欧州がより厳しい対中姿勢に転じたのではなく、すでに対中観が厳しくなっていたために、G7やNATOでも厳しい文言に賛同したということだったのだろう。

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