まるで禅問答のような結果に終わった米露首脳会談の評価は、なかなか難しい (C)AFP=時事
 

  6月16日にジュネーブで行われた米露首脳会談は、核軍備管理やサイバー犯罪で新たな対話の枠組みを設けることで合意したが、具体的な成果は乏しかった。

 両首脳は会談後、「指導者同士の直接対話に代わるものはない。会談のトーンはポジティブだった」(ジョー・バイデン米大統領)、「会談は極めて建設的で、プラグマティックだった」(ウラジーミル・プーチン露大統領)と意義を強調したが、ウクライナや人権、ロシアによる対米サイバー攻撃など懸案で進展はなかった。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官が「両首脳は合意しないことで合意した」と称したように、互いのレッドライン(越えてはならない一線)を確認する形となった。

「期待値」を意識的に下げた両国

 今回の首脳会談は、バイデン大統領が4月中旬、プーチン大統領に電話し、唐突に会談を提案して実現した。米側は当時、対露政策見直しを策定中で、米露首脳会談を急ぐ気はなかったが、ロシアの「暴走」を懸念し、急きょ首脳会談を開く必要に迫られた。

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