【スペシャルトーク】日露合作の“忠犬映画”がロシアでヒットした理由

佐藤優(作家)×益田祐美子(映画プロデューサー)×山本修夢(俳優)

執筆者:フォーサイト編集部2021年6月22日
ソ連時代のモスクワ。空港の滑走路ではぐれた飼い主を待ち続ける一匹の犬と、母の死で心を閉ざした少年の心温まる交流を描いた日露合作映画。©2021パルマと秋田犬製作委員会

 

いちばん良い時代のノスタルジー

益田 日本では5月28日から公開中の『ハチとパルマの物語』ですが、実はロシアでは一足早く3月から公開されていまして、ありがたいことに大ヒットを記録しております。ロシアでは現在までに160万人が観たと言われています。そのヒットの秘密を、元外交官でロシア通の作家、佐藤優さんに伺います。

佐藤 まずはですね、山本修夢さんのロシア語がとてもうまかった。そのおかげですごく自然に物語に入れました。

山本 ありがとうございます(笑)。私は日本人のジャーナリスト役で出演していて、主人公の少年に「日本にもパルマと同じようなハチという忠犬がいたんだよ」と伝えて、「いつか日本に来てね」と呼びかける役柄でした。

佐藤 ただ、うますぎてジャーナリストのロシア語じゃないですね。日本のジャーナリストの話すロシア語はもう少したどたどしいから(笑)。山本さんのは、むしろ商社員のロシア語に近い。もしかして俳優になる前は商社に勤めていたのかな、と思ったくらい。あれは商社員が女性を口説く時のロシア語ですね(笑)

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