UAEは2030年までに原油生産を500万BDに増強する計画だった   ⓒEPA=時事

 今となっては隔世の感があるが、20世紀はのどかな時代だった。日本の石油会社は特約店対策として年に一度、海外研修旅行を企画、実行していた。ガソリンスタンドで働く特約店の中堅・若手社員が主な参加者だった。

 ロンドン時代には、たとえば「デンマークのガソリンスタンド(SS)事情を知りたい」というような依頼を受けた。当時クウエート国営石油(KPC)が事業多角化の一環として欧州で「Q8」ブランドでの下流事業を展開しており、デンマークでも活発に活動していた。そこで筆者は連絡を取り、一行をKPCデンマーク子会社にご案内した。

 首都コペンハーゲンにある「Q8」事業会社会議室で、同国の石油市場概況と同社事業内容の説明を筆者が通訳する形で拝聴し、その後、市内の「Q8」SSを視察した。「わが社の1SS当たりの月間平均販売量は100キロリットル以上」との説明に、当時、日本ではSSの平均販売量は月間50キロリットル程度だったので、ミッション参加者たちからため息が漏れたのを覚えている。

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