岩瀬昇のエネルギー通信 (364)

OPECプラスでまた衝突「サウジvs.UAE」の火種と減産延長はどうなるか

執筆者:岩瀬昇 2021年7月4日
エリア: 中東
UAEは2030年までに原油生産を500万BDに増強する計画だった   ⓒEPA=時事
8月~12月の協調減産の規模縮小と減産期間の延長をめぐり、OPECプラスで「サウジvs.UAE」の睨み合いが続いている。現行生産枠が定められた時点で生産能力引き上げ計画を進めていたUAEの不満は根深い。UAEの目標は需要ピークが訪れる前に石油収入を最大化することとの指摘もあり、両国の対立は中長期的にくすぶり続けるOPECのアキレス腱だ。

 今となっては隔世の感があるが、20世紀はのどかな時代だった。日本の石油会社は特約店対策として年に一度、海外研修旅行を企画、実行していた。ガソリンスタンドで働く特約店の中堅・若手社員が主な参加者だった。

 ロンドン時代には、たとえば「デンマークのガソリンスタンド(SS)事情を知りたい」というような依頼を受けた。当時クウエート国営石油(KPC)が事業多角化の一環として欧州で「Q8」ブランドでの下流事業を展開しており、デンマークでも活発に活動していた。そこで筆者は連絡を取り、一行をKPCデンマーク子会社にご案内した。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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