北部ティグレ州で軍に攻撃を命じたと国民に説明するアビー首相(撮影2020年11月4日)(C)AFP=時事

 

 アフリカの政治体制に関わる問題は、基本的には冷戦終焉以降の約30年にわたる時間軸の中に位置づけられる。

 1990年代には、いわゆる「政治的コンディショナリティー」という、援助の条件として複数政党制の下での自由かつ公正な選挙の実施などを求める国際的な民主化支援が欧米諸国によって実施された。

 こうした外からの民主化圧力の下でアフリカ諸国の政治改革は進んだが、この動きは極めて短期間に、しかも表層的に複数政党制と選挙のみを導入するといった「改革」の下で進められたため、十分な制度化を伴わない体制変革という側面をも有していた。そのため、このような「改革」で生まれたアフリカの政治体制には、当時「選択肢なき民主主義」(Choiceless Democracy)という評価もなされた。

 1990年代後半になると、民主主義を定着させるための方策として、ヨーロッパの民主主義経験を踏まえた「市民社会」の強化支援が併せて行われた。

 しかし、その後の国際援助の方向性が必ずしも政治的な民主化に向かわず、ドナー側の力点が経済成長(あるいは開発や貧困削減)を重視する「ガバナンス」にシフトしたり、さらには「対テロ戦争」という新たなアジェンダが加わったりすることにより、アフリカの政治体制の民主化は「停滞」しているという評価も行われてきた。

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