来年の大統領選、マクロン(左)ルペン(右)の一騎討ちに異変が……(C)AFP=時事

 フランスで全国一斉に、地域圏議会と県議会の同時選挙が行われた。

 過去のイメージから、フランスは中央集権の国だと思われがちだが、日本よりもはるかに地方分権が進んでいる。アメリカやドイツとは違った、国家の一体性を持ちつつ分権するという第三の道をとっており、おおいに日本の参考になると思うのだが、あまり知られておらず残念である。

 国、地域圏(レジョン:州とも訳される)、県、市町村(コミューン)は対等で、それぞれに権限が配分されている。地域圏は日本の東北地方とか関東地方がそのまま自治体になったようなもので、経済開発、地域整備などで国と対等の権限をもつ。県は福祉などを担当しており、それぞれが国民生活に重要な役目を負っている。

 日本のような知事はなく、各自治体の首長は、議員の互選で選ばれる議長が務める。その下に、国でいうと閣僚にあたる財務や文化、経済産業、農業など、分野別に10~20人程度の副議長がいる。いわば議員内閣制の地方政府である。

 議員の選挙方法は、地域圏は変形比例代表2回投票制、県は小選挙区2 回投票制である。地域圏の候補者リストは男女を交互に並べなければならない。また県では、1人ではなく男女ペアの候補に投票して2人が同時に当選とするという、世界に例のない方式で男女平等を図っている。

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