持ち家志向の強い中国社会で、住宅価格が家計に与える影響は特に大きい  ©︎EPA=時事

   7月1日に「共産党結党100周年」を迎え、お祝いムードの中国。世界でいち早く新型コロナウイルスの感染を抑圧し、経済は「V字型」回復を果たしたとされるが、マスクを外した市民の表情は必ずしも一様に明るいわけではない。成長の源泉である消費が盛り上がりを欠き、経済回復のスピードが鈍ってきたからだ。消費不振の背景には、住宅価格の高騰などによる家計部門の債務急増がある。

日本のバブル期を超える債務水準

   1月から3月まで家計部門の債務は、毎月1兆元(約17兆円)と過去に例の無いペースで増え続けている――。中国で最近、国営通信社の新華社がこんな衝撃的な記事を配信し、話題となった。

   中国の家計債務はここ数年、急ピッチで増加している。中国人民銀行のまとめでは、2020年末時点の同債務の残高は73兆6000億元。前年末に比べ率にして14.6%、金額で約9兆元増加した。国内総生産(GDP)に対する比率は72.5%で、19年末時点より7.4ポイントも高まった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。