どのような形で存在感を示すのか (C)AFP=時事

 2020年大統領選挙の結果、カマラ・ハリスは、黒人、アジア系、そして女性として初のアメリカ合衆国副大統領となった。つい最近邦訳された『私たちの真実 アメリカン・ジャーニー』(光文社、藤田美菜子・安藤貴子訳)は、2024年大統領選における有力な大統領候補とも目されるハリスの初の自伝である(原著“The Truths We Hold: An American Journey”は2019年1月刊)。政策的な提言も豊富に展開されている。

挫折から始まった検事のキャリア

 

 ハリスは1964年、カリフォルニア州オークランドでインド系の母シャマラ・ゴパランとジャマイカ系の父ドナルド・ハリスの間に生まれた。母はがん研究者で、父は経済学教授というエリート家系の出身だ。幼い頃は黒人バプテスト教会とヒンドゥー教寺院の両方に通い、多様な文化や宗教を経験しながら育った。第44代米大統領バラク・オバマを彷彿とさせるコスモポリタンな生い立ちだ。

 7歳のとき両親が離婚し、以降は妹マヤとともに母親に育てられた。名門黒人大学のハワード大学、カリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールを卒業し、司法試験に合格。2004年、サンフランシスコ市郡地方検事となった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。