イーロン・マスク氏の有人宇宙船「クルードラゴン」とテスラの電気自動車には、共通のDX思想が流れている   ©︎AFP=時事

   前回、VUCA(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)の時代を迎えるに至った根底には資本主義に基づくグローバル経済の際限なき膨張があると語り、飽くなき経済発展が現代社会にもたらした帰結を考察する上で5つの要因に注目してこの連載で取り上げることを予告した。

   それらは、①気候変動を伴う地球環境の変化、②2050年には100億に近づくという地球の人口爆発、③人生100年時代ともいわれる超高齢社会の到来、④中国の台頭と米中の覇権争い、⑤加速度を増し続ける技術革新、の5つだ。

どれもが今後の地球や人類の持続可能性に関わる大きなテーマだが、今回は早速これらのテーマについてポイントを整理しておきたい。

企業活動の前提になる「極端気象」化した地球

    1つ目は、環境破壊などに起因する地球温暖化やそれに伴う地球環境の激変である。私はたまたま縁あって民間気象情報会社ウェザーニューズ社の社外役員もやっているが、同社の社内では「異常気象」という表現を通り越して「極端気象」「エクストリーム・ウェザー」という表現がよく使われる。実際、少し前までは数十年とか百年に1度といわれていたような大規模自然災害が増えている。もともと災害大国ともいわれるわが国だが、巨大台風に連続して襲われることや、線状降水帯による長雨での広域災害などが目立つようになった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。