NTTや放送関連会社の東北新社による幹部らへの接待問題で批判を浴びた総務省で、事務方トップの黒田武一郎事務次官(1982年、自治省入省)が留任した。総務省の次官人事は旧自治省と旧郵政省の官僚がほぼ1年ごとに、たすき掛けで行ってきたが、次の次官と目されていた谷脇康彦前総務審議官(84年、郵政省入省)が依願退官。旧自治省の官僚が多いことから自治→自治へのリレーもあり得たが、結局は黒田氏の続投となった。武田良太総務相は6月25日の閣議後の記者会見で、黒田氏の留任について「余人をもって代え難い人材」と説明したものの、後任の筆頭候補が引責辞職した影響が色濃く出た人事となった。
計11人の懲戒・訓告処分者が出るという不祥事を背景に、武田総務相は同じ記者会見で、「情報流通行政局の放送担当、総合通信基盤局のNTT担当は一新する」と述べ、組織の立て直しに力を入れる方針を示した。
谷脇前総務審議官の退職で空席となっていた郵政・通信担当の総務審議官には、竹内芳明総合通信基盤局長(85年、郵政省入省)が就任。竹内氏は旧郵政省に技官として入省している。郵政・通信担当の次官級の総務審議官に技官が起用されるのは初めてで、同省のサプライズ人事だと言える。武田総務相は「技術系のみなさんもモチベーションが上がる。人心一新で取り組んでもらいたい」と話し、人事刷新を強調したが、「接待問題で多数の処分者を出した影響は、ボディーブローのように数年はきいてくる」(同省OB)という見方も根強い。
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