国連総会が安全保障理事会の改革に関する政府間交渉を開始し、協議プロセスが前進した。だが、常任理事国入りを目標に掲げる日本を含む各国間の隔たりは大きく、具体案で合意できる見通しは立っていない。それでも日本の国連代表部は「画期的」と高く評価する。なぜか。 政府間交渉の特徴は、多数決による投票決着が可能なこと。常任理事国拡大に反対のイタリアなど少数派は、従来の作業部会では意思決定に全会一致が必要であることを盾に議論の遅延を図ってきたが、多数決となれば討議に応じざるを得ない。 ただその政府間交渉も、現状は各国が持論を展開する「ディベート大会」(外交筋)に終始。だが、国連当局者によれば、この事態を予期していたデスコト総会議長(ニカラグア)は、五月以降に「『これまでの議論を踏まえた』と称して決議案の要旨に近い文書を示す」シナリオを描いているという。そうなれば、日本国連代表部の思惑通りの展開だ。 代表部の最低目標は、「十―十五年間、選挙なしに安保理の席に座り続ける」こと。これが満たされれば、拒否権の有無など追加理事国の地位を最終決定せずにひとまず安保理を拡大し、一定期間後に決着を図る「暫定方式」も検討の余地が高まる。暫定方式は有力な妥協案として数年前から浮上しており英仏が受け入れに前向きだ。

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