物価目標達成は遠く…黒田日銀が見つけた「気候変動オペ」という奇手

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執筆者:鷲尾香一2021年7月26日
2%物価目標は“ポスト黒田”にも引き継がれるか  ©︎AFP=時事

 日銀は7月16日、新たに「気候変動対応を支援するための資金供給」(以下、気候変動オペ)を導入することを発表した。世界が脱炭素に進み始め、多くの中央銀行が気候変動対策に取り組む動きに足並みを揃えた格好だが、その背後には日銀の思惑も透けて見える。

 簡単に気候変動オペを説明すると、「気候変動に対応するための取り組みを行っており、その内容について一定の開示を行っている企業」を対象に、日銀が“銀行を通じて支援”するというもの。

 欧米を中心に多くの中央銀行が同様の取り組みを行っているが、その手段は企業が気候変動対策のための資金調達で発行する社債(グリーンボンド)の買い入れが中心になっている。

 ただし、日銀はグリーンボンドの買い入れも選択肢に挙げてはいるものの、現時点では後ろ向きだ。支援の中心は、気候変動対策を行う企業へ銀行が行うグリーンローンと呼ばれる融資。これに対して、日銀が金利ゼロ%で資金供給を行うことで、実質的に気候変動対策を行う企業を支援する。

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