エジプトのナイル川上流諸国への外交攻勢

執筆者:池内恵2021年7月30日

一般財団法人中東協力センター(JCCME)の『中東協力センターニュース』には、かなり長い間、定期的に寄稿の機会をいただいている。以前は「連載」していた時期もあり、最近は忙しくて、年に数回程度だが、毎回苦しみながら一定の規模のレポートをまとめている。

今回はエジプトを取り上げた。

池内恵「エジプトのナイル流域諸国に対する安全保障外交」『中東協力センターニュース』2021年7月号、1-8頁

エジプトは「アラブの春」後の混乱の中で、中東政治における地域大国としての存在感を低下させている。しかし長期的にはエジプトの国力や地理的・地政学的条件は、アラブ世界の中でのエジプトの重要性を保証している。

エジプトは近年に、紅海・アフリカの角地域を中心とした東アフリカ、及びナイル上流諸国との関係強化を進めている。

その際には、軍主導のスィースィー政権が軍事・安全保障分野での外交に力を入れている。今年の3月以来現在まで、エジプトはスーダン、ブルンジ、ウガンダ、ケニア、ルワンダ、コンゴ民主共和国(DRC)、南スーダン、タンザニア、そしてジブチの9カ国に次々と軍事・安全保障面での関係強化を打ち出している。

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