独ブランデンブルク州にあるスウェーデン「バッテンフォール」社のCCS施設(2011年撮影) ⓒ EPA=時事

「枯渇した油ガス田が将来、資産価値の高いアセットになるかもしれないな」

Monster problem: Gorgon project is a test case for carbon capture」と題する『フィナンシャル・タイムズ』(FT=2021年7月26日)の記事を読みながら、元上司が呟いていた言葉を不意に思い出していた。

 タイ国エネルギー省高官との面談等を終えた夜のナイトキャップを楽しみながら、翌朝帰国予定のK社長がポツンと洩らされたのだ。前後の文脈は覚えていない。時は2007年、バンコク中心部「スコタイホテル」のバーラウンジでのことだった。

 当時「気候変動問題」は今ほど脚光を浴びていなかった。前年公開のドキュメンタリー映画『不都合な真実』でアル・ゴア米元副大統領が年末にノーベル平和賞を受賞した年だが、京都議定書の「失敗」もあり、さほど重要視されていなかったのだ。ましてや「CCS(二酸化炭素回収・貯蔵)」技術が注目されることはなかった。したがって、K社長の慧眼に筆者がどう応えたのか、まったく記憶にない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。