支持率急落のボルソナーロ大統領(C)AFP=時事

 

コロナ対策の疑惑で支持率急落

 ボルソナーロ政権にまつわる汚職・不正の疑惑は、政権の発足から徐々に浮上していたが、政権運営に打撃を与えるまでには至らなかった。

 しかし今回、連邦上院に設置された調査委員会(CPI)が政府の新型コロナウイルス感染症対策について審議する過程で、次々に汚職疑惑が持ち上がり、ボルソナーロ政権の支持率は急落している。

 調査委員会はこれまで、新型コロナ対策に関する証人喚問や参考人の招致を行ってきた。同調査委員会で指摘されてきたのは、アマゾナス州マナウス市の医療状況の悪化、危機的状況に関する報告のタイミングの是非、ワクチンの購入契約と契約の遅延、購入にかかる審査プロセスの問題などであった。

 6月24日、調査委員会に招かれた感染症の専門家は、ボルソナーロ政権が適切な措置を講じていれば「コロナの死者は約40万人少なくて済んだ」との見解を示した。専門家は政権のコロナ対策の誤りとして、効果が否定される医薬品による治療推奨、感染症の対策に不可欠な検査や濃厚接触者の確認の不足、マスク着用の不徹底、不十分な隔離、保健省や対策委員会のリーダーシップの欠如に加えて、マスク着用や人の密集回避、防疫対策の必要性といった一貫した情報提供の不足などを指摘している。

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