ボルソナーロ政権にも浮上「ブラジル政治」が繰り返す汚職の歴史

執筆者:舛方周一郎 2021年8月9日
タグ: ブラジル
エリア: 中南米
支持率急落のボルソナーロ大統領(C)AFP=時事
ブラジルのジャイール・ボルソナーロ政権にまつわる複数の汚職疑惑が持ち上がっている。ボルソナーロ大統領は2019年1月の大統領就任式で汚職の撲滅を国民に高らかに訴えた。しかし、これまで多くの政権が改善に挑みながら、ブラジルの中枢はいまなお汚職に蝕まれ続けている。

 

コロナ対策の疑惑で支持率急落

 ボルソナーロ政権にまつわる汚職・不正の疑惑は、政権の発足から徐々に浮上していたが、政権運営に打撃を与えるまでには至らなかった。

 しかし今回、連邦上院に設置された調査委員会(CPI)が政府の新型コロナウイルス感染症対策について審議する過程で、次々に汚職疑惑が持ち上がり、ボルソナーロ政権の支持率は急落している。

 調査委員会はこれまで、新型コロナ対策に関する証人喚問や参考人の招致を行ってきた。同調査委員会で指摘されてきたのは、アマゾナス州マナウス市の医療状況の悪化、危機的状況に関する報告のタイミングの是非、ワクチンの購入契約と契約の遅延、購入にかかる審査プロセスの問題などであった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
舛方周一郎(ますかたしゅういちろう) 東京外国語大学世界言語社会教育センター講師。1983年生まれ。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程修了、博士(国際関係論)。サンパウロ大学国際関係研究所客員研究員、神田外語大学専任講師を経て2020年4月より現職。専門は国際関係論・現代ブラジル政治。著書に『つながりと選択の環境政治学―『グローバル・ガバナンス』の時代におけるブラジル気候変動政策』(単著/2022年/晃洋書房)、『「ポスト新自由主義期」ラテンアメリカの政治参加 』(共著/2014年/アジア経済研究所)、『新版 現代ブラジル事典』(分担執筆/2016年/新評論)、『ラテンアメリカ 地球規模課題の実践』(共著/2021年/新評論)、『UP plus新興国から見るアフターコロナの時代―米中対立の間に広がる世界』(共著/2021年/東京大学出版会)“Brazil-Japan Cooperation: From Complementarity to Shared Value,” Authored chapters in Books, Springer, 2022.など。
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