DXの指揮は初挑戦となる(写真は石倉洋子氏twitterより)

 菅義偉首相が掲げたデジタル改革の象徴「デジタル庁」の目玉人事が、9月1日の同庁発足直前に滑り込みで固まった。事務方トップ「デジタル監」には、民間から石倉洋子・一橋大学名誉教授(72)が起用される。

 デジタル監が空席のままスタートするという前代未聞の事態が懸念され、「急場で白羽の矢を立てた」(霞が関筋)というこの人事は、どうにも場当たり的な様相を否めない。

 石倉氏の経歴は華々しい。日本人女性として初めて、ハーバード大学ビジネススクールの経営学博士を取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは経営コンサルタントとして世界の企業戦略のコンサルに携わった。資生堂など名だたる企業の社外取締役を複数こなし、中央教育審議会委員や日本学術会議副会長など政府関連の要職にも就いてきた。

「言うべきことを言う、筋を通す人だ」(メーカー関係者)というように、石倉氏の評判は悪くない。70歳を超えた高年齢での枢要ポスト起用も、今更珍しいことではない。しかし、課題がある。確かに経営のプロではあるのだが、肝心かなめの「デジタル」には“素人”なのだ。

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