WHOが発表した「COVID-19の本当の死者数」とは(WHOホームページより)

 

 現下の新型コロナウィルス(以下コロナ)危機では、様々なデータに関する話題が取り上げられている。たとえば、日本のPCR検査数の異常な少なさは、コロナ発生当初から延々と指摘されており、陽性者数が正確に把握できていないという話も聞かれる。また、国と東京都で重症者の基準が異なり、東京都の基準による重症者数が国の基準による重症者数よりも大きく下回っている傾向が見られる。

 こうした現状に政治的な意図がどれほど介在しているかは定かではないが、少なくとも日本において死者数に関しては、陽性者数や重症者数のように歪められる可能性は低いとは言えるだろう。

 しかしながら、世界を見渡してみると、陽性者数はおろか死者数までも様々な政治的意図や利害などによって操作されるような事態が起きていると考えられる。

 本稿では、こうしたコロナに関するデータの問題を民主主義と権威主義という政治体制の観点から各国の事例に基づいて論じてみたい[1]。というのも、様々な情報公開が求められ、メディアが監視している民主主義国家と異なり、権威主義の国家では、コロナ関連のデータも操作されやすいのではないかと考えられるからである。

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