7月14日に行われた上海協力機構外相会議(C)AFP=時事

 

 地政学に則れば、ランドパワー(大陸国家)とシーパワー(海洋国家)がせめぎ合うリムランド(環状周縁地帯)にアフガニスタンは位置しており、その近代史はランドパワーとシーパワーに翻弄されてきたと言える。18世紀末の英露間の「グレートゲーム」はこの大国間の争いであり、これがアフガニスタン、そしてその北方の中央アジアとの境界を画定した。アフガニスタンには、ウズベク民族、タジク民族、トルクメン民族が居住するが、彼らがその民族名を冠した国家(ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)から離れて暮らすのはこのグレートゲームの結果である。

 なお、その3カ国にカザフスタンとキルギスを加えた中央アジア5カ国は、いずれも旧ソ連時代(1920-30年代)に創られた国家であり、大国主導で民族が分断される形で国境が確定したことで、この地域の国際関係には領土を巡る潜在的な対立が埋め込まれた。

 今回は、この様な中央アジア諸国がアフガニスタン情勢をどのように捉えているかを明らかにする。折しも、アフガニスタンがオブザーバー加盟し、中央アジア4カ国(永世中立国のトルクメニスタンは加盟せずに部分的な協力関係に限定している)、そして中露印パといった地域大国が加盟する上海協力機構首脳会合が9月16・17日にタジキスタンの首都ドゥシャンベで開催される。そこで、同首脳会合で注目すべき点も合わせて考えたい。

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