7月26日、北方領土の択捉島を訪問したミシュスティン露首相[ロシア政府提供](C)時事

 ウラジーミル・プーチン露大統領の下で国粋主義を強めるロシアが、北方領土問題の「封印」に向けて歴史戦を強化している。この夏以降、ロシア外務省は日本の戦争責任を問う声明を次々に発表。旧ソ連がシベリアに抑留中の旧日本軍人を訴追した「ハバロフスク裁判」(1949年)をめぐる大型学術会議も開かれた。

「ロシアの4島領有は第2次世界大戦の結果」という論理を固定化しており、中国と共同歩調を取る動きもみられる。北方領土の免税特区構想も、安倍晋三前首相が進めた共同経済活動を反故にするものだ。ロシアがむきになって領土問題を葬ろうとする背景を探った。

中韓以上にロシアの「反日」が突出

 ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は終戦記念日の8月15日と、ロシアが昨年事実上の対日戦勝記念日に制定した9月3日の前日、立て続けに声明を発表した。

 8月15日の声明は、

「中国や韓国、東南アジアで日本の軍国主義者らによって何百万もの人々が亡くなった」

 と述べ、日本の閣僚らの靖国神社参拝を非難。日本が旧ソ連の対日参戦や北方領土制圧を非難し続けることに「憤りを感じる」と強調した。

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