なぜバラーダル幹部は首相代行に就かなかったのか(C)AFP=時事

 

 タリバンが発表した暫定内閣が、波紋を呼んでいる。2021年9月7日に暫定内閣33ポストを発表し、国の新たな統治主体としての歩みを始めた。しかし、閣僚はタリバン構成員のみで占められ、「包摂的な政府」と呼ぶには程遠いものだった。最大民族パシュトゥーン人がほとんどで(注:タジク人2名、ウズベク人1名は入閣)、女性閣僚の顔ぶれも見られなかった。

 今回、タリバンが権力を独占する暫定内閣には、各国から厳しい反応が寄せられている。9月11日に予定されていた、中国、ロシア、イラン、パキスタン、カタール、トルコが招待された暫定政権発足式も、当面見合わせとなった。今後を占う上で、どうして暫定内閣発表がこのタイミングになったのか、閣僚リストから見えるタリバン内部の対立構造、そして今後への影響、を検討する作業が必要である。

 そこで本稿では、「部族」のフィルターを通じ、タリバン内部の対立構造を解き明かしたいと思う。部族だけでなく、路線対立、出身地域、並びに、外部アクターからの影響といった多角的な観点からも光を当てたい。

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