対テロ戦20年の米印接近、そしてインドに残された「大きな重荷」
2021年9月23日
米軍が撤退した後のアフガニスタンの面倒を誰が見るのか。アメリカが後を託せる国を見つけるのは難しい。アフガニスタンと国境を接するのはアメリカと対立するイラン、ロシアの勢力圏にある中央アジア諸国、そしてイスラム過激派の制御ができないパキスタン。いずれの国もイスラム武装組織のタリバンを相手に交渉しアフガニスタンを安定した民主的な国家へと導くのは難しいだろう。
地域大国となったインドが対テロ、そして対中国のキーストーンとしての役割を果たす期待が高まるが、インドはあえてこの火中の栗を拾うのか。今後のインドの出方を考えるためにまず、これまでの米印関係の流れを振り返っておきたい。
アメリカを手玉に取ったインド外交
2001年の同時多発テロ以降、アメリカが対テロ戦を続けたこの20年間に米印は急速に接近した。南アジアに強い拠点を持たないアメリカにとって、インドの協力はアフガニスタンでの軍事作戦を進める上で重要であったし、勢力を拡張する中国の対抗勢力にしたいとの思惑もあった。インドはそのアメリカから、巧みな外交で実に様々なものを得てきたと言える。
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