2010年3月、アフガニスタン・カブールを訪れてカルザイ大統領(右=当時)と会談する緒方貞子・JICA理事長(左=当時)。緒方氏はアフガニスタン支援日本政府特別代表を退いた後もアフガン支援に心寄せていた (C)AFP=時事

 9月13日、国連が開催したアフガニスタンへの人道援助に関する会議で、各国は10億ドル以上の資金提供を約束した。もともとの厳しい社会経済状況に加え、アフガニスタン政府崩壊に伴う混乱で、国民のほとんどが困窮状態に陥ることが予測されている。厳しい冬の間に、人道的惨状が広がるのではないか、という危機意識を、各国は共有した。

人道援助と開発援助は別のもの

 ただし人道援助資金は、WFP(世界食糧計画)などの国連の人道援助機関を通じて執行されるのが基本だ。タリバン政権への支援ではない。人道援助は、タリバン政権の承認や制裁解除問題とは別次元で行われる。

 国際的な人道援助というのは、もともと「中立性・不偏不党性」を原則とする。人道援助活動の保障をあらゆる勢力に求め、どの勢力にも偏ることなく活動することになっている。これは、国際援助の常識というべき大原則である。今のところは、タリバン指導者層もそうした国際社会の立場を理解して、国連の人道援助機関の活動を認める立場のようだ。

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