「平和構築」最前線を考える (32)

アフガン復興支援で踏まえるべきは「緒方イニシアチブ」挫折の検証

執筆者:篠田英朗 2021年9月27日
エリア: アジア 中東 北米
2010年3月、アフガニスタン・カブールを訪れてカルザイ大統領(右=当時)と会談する緒方貞子・JICA理事長(左=当時)。緒方氏はアフガニスタン支援日本政府特別代表を退いた後もアフガン支援に心寄せていた (C)AFP=時事
この20年、日本は巨額の援助をアフガニスタンに続けてきたが、その資金は政府の腐敗を助長するものでしかなかった。そして今、タリバンが支配するアフガニスタンに何ができるのか。旧政権よりもさらに複雑で厳しい状況下での、日本の援助のありようを考える。

 9月13日、国連が開催したアフガニスタンへの人道援助に関する会議で、各国は10億ドル以上の資金提供を約束した。もともとの厳しい社会経済状況に加え、アフガニスタン政府崩壊に伴う混乱で、国民のほとんどが困窮状態に陥ることが予測されている。厳しい冬の間に、人道的惨状が広がるのではないか、という危機意識を、各国は共有した。

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執筆者プロフィール
篠田英朗(しのだひであき) 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程、ロンドン大学(LSE)国際関係学部博士課程修了。国際関係学博士(Ph.D.)。国際政治学、平和構築論が専門。学生時代より難民救援活動に従事し、クルド難民(イラン)、ソマリア難民(ジブチ)への緊急援助のための短期ボランティアとして派遣された経験を持つ。日本政府から派遣されて、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)で投票所責任者として勤務。ロンドン大学およびキール大学非常勤講師、広島大学平和科学研究センター助手、助教授、准教授を経て、2013年から現職。2007年より外務省委託「平和構築人材育成事業」/「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を、実施団体責任者として指揮。著書に『平和構築と法の支配』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『「国家主権」という思想』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『集団的自衛権の思想史―憲法九条と日米安保』(風行社、読売・吉野作造賞受賞)、『平和構築入門』、『ほんとうの憲法』(いずれもちくま新書)、『憲法学の病』(新潮新書)など多数。
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