サイバー戦は「戦争」のあり方をどう変えるのか(C)Gorodenkoff

 

 2001年というと、日本ではようやくインターネットが一般家庭でも使用され始めたばかり、というくらいだったろうか。新テクノロジーを見るととりあえず拒否してみせる筆者の父がようやくインターネット回線を引いたのがこの頃であったと記憶する。ロシアでのインターネットの普及はもう少し遅く、ブロードバンド接続が当たり前になったのは、都市部でも2000年代後半以降ではなかっただろう。

 だが、ロシアの情報機関は違った。サイバー時代が到来するや否や、これが新たな諜報戦の手段となることを見抜いていたのである。

「SIPRNet」不正アクセスで明らかになったロシアのサイバー脅威

 1998年に米国で発覚した「ムーンライト・メイズ」事件は、このことを証明する最初の契機となった。のちの調査によると、ロシアのサイバー戦部隊は遅くとも1996年頃から米国に対するサイバー攻撃を開始し、国防総省をはじめとする政府機関や軍事関係の研究・教育機関のコンピューターに対して長期にわたる不正アクセスを行っていたとされる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。