エルドアン大統領の外交戦略とは(C)EPA=時事

 

 タリバンがアフガニスタン全土を掌握するなかで、国際社会はその対応に苦慮している。そのなかで、目立っているのがカタールとトルコである。両国ともタリバンを含む各政治勢力と交渉可能であり、国際社会とアフガニスタン、特にタリバンの間の窓口となっている。

 ここでは、両国のなかでもNATO(北大西洋条約機構)の一員としてここ20年ほどアフガニスタンに積極的に関与し、イスラム教徒が多数を占める国としてアフガニスタンから一目置かれてきたトルコに注目し、2021年のトルコ外交の現状と展望に関して考察していきたい。

孤立外交から協調外交へ

 2016年から2020年まで、とりわけ2016年7月15日のクーデター未遂事件以降、内政を最優先する外交を展開し、隣接地域との関係が不安定化していたトルコであったが、2021年に入りその外交政策に変化が見られた。

 この変化の背景として挙げられるのが、アメリカ大統領がドナルド・トランプからジョー・バイデンに交代したことであるが、それは直接的ではなく、間接的なものであった。つまり、バイデン政権の誕生によって、これまでトランプ政権と蜜月の関係にあったイスラエル、サウジアラビア、エジプト、UAE(アラブ首長国連邦)の中東域内における対応が変化したことが、トルコとの関係正常化を後押ししている。

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