タリバン交渉役で存在感:トルコ「協調外交」を左右する「2023年大統領選」

執筆者:今井宏平 2021年10月4日
エリア: 中東
エルドアン大統領の外交戦略とは(C)EPA=時事
アフガニスタンのタリバン政権との窓口として存在感を増しているトルコ。米政権交代が中東にもたらした秩序変化を捉え協調外交へと舵を切るが、アフガン難民への対応では国内の反発も予想される。今後の大きなファクターとなるのが2023年6月の大統領選・総選挙のダブル選である。

 

 タリバンがアフガニスタン全土を掌握するなかで、国際社会はその対応に苦慮している。そのなかで、目立っているのがカタールとトルコである。両国ともタリバンを含む各政治勢力と交渉可能であり、国際社会とアフガニスタン、特にタリバンの間の窓口となっている。

 ここでは、両国のなかでもNATO(北大西洋条約機構)の一員としてここ20年ほどアフガニスタンに積極的に関与し、イスラム教徒が多数を占める国としてアフガニスタンから一目置かれてきたトルコに注目し、2021年のトルコ外交の現状と展望に関して考察していきたい。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
今井宏平(いまいこうへい) ジェトロ・アジア経済研究所研究員。中東工科大学Ph.D. (International Relations)、中央大学博士(政治学)。専門は現代トルコ外交・国際関係論。2004年に中央大学法学部卒業後、同大大学院を経てトルコのビルケント大学に留学。中東工科大学国際関係学部博士課程修了後、中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士前期課程修了。2016年より現職。著書に『中東秩序をめぐる現代トルコ外交――平和と安定の模索――』(ミネルヴァ書房、2015年)、『トルコ現代史――オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで――』(中央公論新社、2017年)、『国際政治理論の射程と限界』(中央大学出版部、2017年)がある。
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