発表されたM&Aスキームは「無理筋」との見方も多い(会見を開いたH2Oの荒木直也社長[左]と関西スーパーマーケットの福谷耕治社長=8月31日)  ©︎時事

「関西的な情が勝つか。それとも関東的な損得勘定が勝つか」。

 関西の経済界で話題となっているのが阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)による、関西スーパーマーケットのグループ入りを巡るM&Aの交渉の行方だ。関西地盤の食品スーパー、関西スーパーに秋波を送っているのはH2Oだけでなく、関東で急成長中の低価格食品スーパー、オーケー。オーケーの買収提案のほうが関西スーパー株主には理解しやすく見え、H2Oの提案は複雑だからだ。

 H2Oは食品スーパー事業を「(百貨店に次ぐ)第2の柱」(荒木直也社長)と位置づける。確かに重要戦略に違いは無いが、金融界では「M&Aのスキームが無理筋、拙攻」とも指摘される。関西スーパー争奪戦の結果次第では荒木社長の責任問題にも発展する可能性がある。

かつては全国同業者の「理想像」

 関西スーパーは10月29日に開く臨時株主総会で、H2O主導による食品スーパー統合案の承認を目指す。H2Oは傘下にイズミヤと阪急オアシスを抱え、この2社と関西スーパーとを統合させる。承認されれば、H2Oは関西スーパーの上場を維持するものの株式58%を保有することになる。株式交換による統合のため現金の流出はない。関西スーパーの株主からは「いかにも関西的なやり方。ケチケチ作戦」という声も聞こえてくる。

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