「インド太平洋」に目を向け始めた中東

執筆者:池内恵2021年10月5日

掲載されたばかりの、サウジ系『シャルクルアウサト』紙への定期寄稿コラムの今回のテーマは、「中東の終わり、インド太平洋の時代の始まり」である。

ساتوشي إيكوتشي، المنافسة في «منطقة المحيطين»... ونهاية عصر الشرق الأوسط

Satoshi Ikeuchi, "End of the Age of the Middle East and the New Scramble for the Indo-Pacific," Asharq Al-awsat, 5 October, 2021.

これはもちろん、アラブ世界の読者に向けて、やや誇張して書いてみたものである。今後も中東は、重要であり続ける。しかし、近代において一貫して、地中海を挟んだ西欧と、大西洋を挟んだアメリカを見続けてきた中東の人々も、もっとアジアに目を向けないといけない、そのような私の認識と問題提起を、率直に、若干挑発的に、表している。

これは2019年2月からからアブダビ系の『アッ=ルウヤ(Alroeya)』紙で継続的に提起し少しずつ書き溜めていたテーマでもある。2020年にコロナ禍が到来して、この話題が一旦途切れてしまったが、最近はまたこの「中東からアジア・インド太平洋への国際政治の重点の移動」を見届ける作業に戻っている。

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