9月28日、米上院軍事員会の公聴会で、中国軍部への電話の事実を認めたミリー米統合参謀本部議長 (C)EPA=時事

 米軍トップが中国に「米国が中国を攻撃する意図はない」と伝えていた――今年9月中旬、日本の新聞にそんなニュースが掲載された。

 

『ワシントン・ポスト』のボブ・ウッドワード記者らが新著『危険(原題Peril)』でその新事実を明らかにした、というのだが、報道だけでは要領がさっぱり掴めなかった。

 予約注文した本がようやく届き、急ぎ読んで、驚いた。予測不可能なドナルド・トランプ米大統領(当時)の危険な「暴走」を阻止するため、米中の軍トップ同士、そして米軍と議会首脳との間で、危険な事態への対応策をめぐり息詰まるドラマが進行していた。

 その中で、高度な民主主義制度の下でも、地球規模の核戦争さえ引き起こしかねない危険な抜け穴があることが浮き彫りにされた。過去の類似例も引きながら、深刻な問題の核心に迫っていきたい。

不穏な中国軍動向をインテリジェンス探知

 ウッドワード氏によると、米軍制服組のトップ、マーク・ミリー米統合参謀本部議長は米大統領選の前後2度にわたって、中国人民解放軍トップ、連合参謀部参謀長・李作成上将と秘密の電話会談をしていた。

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