敵失に救われた岸田氏(C)時事

 

 10月31日に投開票された衆院選は、自民党が公示前の276議席から261議席へ減らしたものの、単独で過半数(233議席)を上回り、国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」(261議席)も確保した大勝と言える。

 一方、野党第一党の立憲民主党は、小選挙区での共産党との候補者一本化がかえって有権者の離反を招き、公示前の110議席より14議席落とした96議席となる敗北を喫した。

 自民は圧倒的な支持を得たわけではないが、野党共闘に対する野合批判などの反作用で粛々と「風なき大勝」を収めた格好だ。

杞憂に終わった「岸田降ろし」

「与党が政権選択選挙で信任をいただいたことは大変ありがたかった。加えて、自民党の単独過半数も国民の皆さんにお認めいただいた。ぜひこうした結果を踏まえ、これからしっかり政権運営、国会運営を行っていきたいと思う」

 岸田文雄首相は選挙の大勢が明らかになった31日深夜、自民党本部を去る際に記者団の取材に応じ、こう手応えを語った。甘利明幹事長が選挙区で敗れるという波乱もあって表情は固かったものの、今後の政権運営への自信を覗かせた。

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