「功臣摘発」習近平が憑かれた「周永康の亡霊」探し
2021年11月2日

習近平が恐れる「墓掘人夫」とは(C)AFP=時事
狡兎死して、走狗烹らる――。兎が死ぬと猟犬も不要になる、つまり敵が滅びたあとは功臣も粛清されるという古代中国の歴史から生まれたことわざは、現代中国にも生きている。
10月2日、共産党中央規律検査委員会が「重大な規律違反や違法行為の疑いがある」ため調査していると発表した傅政華・前司法相がそのいい例だろう。傅氏は習近平党総書記(国家主席)の大敵だった周永康・元政治局常務委員の排除に貢献した「功臣」である。それが一転――。
これは、単なる腐敗・汚職の摘発ではない。中国の政官界にいまなお隠然たる影響力を持つ周氏の「政法(政法委員会)系」勢力を一掃するため、そして習氏が来年の党大会を経て3期目の長期政権を固めるための「畳み掛け」なのである。
習指導部に逆らった新四人組
周氏が汚職で摘発された2014年当時、習指導部の「抵抗勢力」とされた者たちは、文化大革命の動乱を主導した四人組になぞらえて「新四人組」(組の原語は「幇」)と呼ばれていた。周、薄熙来(元重慶市書記)、徐才厚(元中央軍事委員会副主席)、令計画(元人民政治協商会議副主席)の4氏である。習氏一強の現在から見ればウソのような話だが、わずか7年前のことだ。
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