印モディ政権の至上命題から読む「自由と民主」「中国牽制」への疑わしき本気度
2021年11月5日

モディ政権は「自由と民主」の盟友なのか(C)EPA=時事
感染者数「世界2位」のコロナ失策
2021年10月21日、インド政府は新型コロナウイルスのワクチンの接種回数が10億回を突破したと公表し、大々的に祝った。ナレンドラ・モディ首相は、首都デリーの病院を訪れ医療従事者に謝意を述べると同時に、全国へ向けた演説を行い、ツイッターでは「インドの科学、進取の気性、13億人の団結」が示されたとして、これを誇った。
翌日の全国紙には、モディ首相の偉業を讃える広告が、来年初頭に州議会選挙を控えているインド最大の州ウッタル・プラデーシュ州政府によって大々的に打たれた。政府の公式ビデオ、10億回達成を祝う飛行機のラッピング、政府広告のいずれを見ても、誰よりも主役はモディであり、コロナ禍を封じ込める強いリーダーシップを印象づけた。
しかし、モディ政権は実際に封じ込めに成功しているだろうか。
新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年3月には、唐突に全インド・ロックダウンを宣言し、厳格な実施と相俟って日常生活に大きな混乱をもたらした。特に打撃を受けたのが、デリーやムンバイなどインド各地の大都市でインフォーマル・セクターに従事する出稼ぎ労働者である。失業した彼らは、時として1000キロ以上を徒歩で帰郷することを余儀なくされた。
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