「世代間ギャップ」で捉えるアメリカ衰退、中国台頭、世紀の課題としての気候変動

執筆者:ブルース・ストークス(Bruce Stokes)2021年11月9日
ブランデンブルク門近くの「ベルリンの壁」の上に登った東独の青年たち(1989年11月10日) ©︎AFP=時事

 

「相手を知りたければ、その人物が20歳の頃に世界で何が起きていたかを知れ」。

   かつて、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが言ったとされる。

各世代の生年による定義

   現代においても、若者たちは身の回りの出来事、とりわけ自分たちの社会の「外」で起きている事柄を十分に認識したとき、世界に対する価値観を形作っていく。彼らが海外の事象をのぞく「レンズ」は年齢を重ねるに連れてより成熟し、微妙な差異が生まれるかもしれない。それでも、彼らが世界の趨勢をどう解釈するかは、思考パターンの形成期に刷り込まれた対外意識という「プリズム」を通して、知らず知らずに屈折して見えているのだ。

   だからこそ、次代を担っていく若者たちの世界の見方を理解することは極めて重要である。彼らの行動が、未来のあり方を決めるからだ。若い世代が認識していること、していないこと、何を好み、どういう先入観をもっているか、そして上の世代との考え方の違いによって、中国への対応や気候変動といった21世紀の人類の運命を左右する世界の共通課題にどう対処するかが決まってくる。

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