「世代間ギャップ」で捉えるアメリカ衰退、中国台頭、世紀の課題としての気候変動

ブランデンブルク門近くの「ベルリンの壁」の上に登った東独の青年たち(1989年11月10日) ©︎AFP=時事
「ベルリンの壁崩壊」を実体験として記憶する人々は、すでに「高齢者」となりつつある。彼・彼女らにとっての「民主主義の勝利の記念」は、後続世代にとって「果てしなく続く失望の始まり」かもしれないのだ。1980年代以降に生まれた「アフター・ミレニアルズ」が社会の各分野をリードし始めたいま、ポスト冷戦の国際政治は新たなパラダイムシフトを現在進行形で体験している。

 

「相手を知りたければ、その人物が20歳の頃に世界で何が起きていたかを知れ」。

   かつて、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが言ったとされる。

各世代の生年による定義

   現代においても、若者たちは身の回りの出来事、とりわけ自分たちの社会の「外」で起きている事柄を十分に認識したとき、世界に対する価値観を形作っていく。彼らが海外の事象をのぞく「レンズ」は年齢を重ねるに連れてより成熟し、微妙な差異が生まれるかもしれない。それでも、彼らが世界の趨勢をどう解釈するかは、思考パターンの形成期に刷り込まれた対外意識という「プリズム」を通して、知らず知らずに屈折して見えているのだ。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
ブルース・ストークス(Bruce Stokes) ジャーマン・マーシャル財団客員シニア・フェロー/英・王立国際問題研究所アソシエイト・フェロー。「ナショナル・ジャーナル」誌特派員、外交問題評議会上級フェローなどを歴任、1997年にはクリントン政権「Commission on United States-Pacific Trade and Investment Policy」のメンバーとして最終報告「Building American Prosperity in the 21st Century」を執筆している。2012年から2019年にかけてはピュー・リサーチ・センターで国際経済世論調査部ディレクターを務め、多岐にわたる項目について日本人の意識調査を実施した。
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