シンガポール経済が直面する人材不足(写真はイメージです)

 

「シンガポーリアン・コア」とは何か?

 もし日本の労働人口のうち、外国人が約37%を占めていたら、そして、それが自分の雇用を脅かす存在であるとしたら、どのように考えるであろうか?

 こうした問題が現実となって葛藤を抱えているのが、東南アジアの都市国家シンガポールである。

 シンガポールは東京23区を一回り大きくした島に、約545万人強の人口が暮らす。しかし、約27%に当たる約146万人強が永住権をもたない外国人で、そのうちの86%が労働人口である。そこからは、シンガポールが、外国人労働力に大きく依存している姿が浮かび上がる。実際、シンガポールは長らく、外国人労働力を積極活用して経済発展を有利に進めたと言われてきた。

 しかし、この10年ほどの同国では、そうしたモデルに変調が生じている。21世紀に入って外国人労働力の高次化を進めた結果、国民との間に雇用市場で競争が発生し、その不満が政府に向かって噴出したためである。その修正の流れで登場したのが、国民優先の雇用政策「シンガポーリアン・コア」と呼ばれるもので、この数年は外国人労働者のビザ発給制限と併せて、人材政策の基本方針となってきた。

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