「中東版クアッド」をご存知だろうか。

 10月18日に、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相が、イスラエルを訪問してヤイル・ラピド外相(交代制の次期首相でもあり、連立政権の組閣主導者である)と会談した。これに合わせて米国のアントニー・ブリンケン国務長官UAEのアブドッラー・ビン・ザーイド外相がビデオ会議で加わり、4カ国の外相会談が開催され、通商貿易をはじめとした4カ国協力の枠組みの立ち上げが議論された。これが「中東版クアッド」の形成の端緒となるか?と一部を沸き立たせている。

インド太平洋から世界に拡散する「クアッド」のミニラテラリズム

「クアッド」とは、近年の通常の用法では、インド太平洋地域における「日米豪印4カ国戦略対話(Quadrilateral Security Dialogue)」の通称である。クアッドはインド太平洋地域での中国の軍事的・経済的な影響力の拡大に対抗する非公式な枠組みとして2019年に発足し、外交・安全保障だけでなく、インフラ整備や、テロ対策、サイバーセキュリティ、新型コロナウイルス感染症対応、気候変動対策などの幅広い分野における協力・協調枠組みとして発展しつつある。2021年には、3月12日のテレビ会議による首脳会談、そして9月24日の初の対面による首脳会談を開催し、米主導の「ミニラテラル」な有志国の協調・協力枠組みとして成長している。日本による提唱を起源の一つとしており、2022年には日本で首脳会談を開催する見通しである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。