マーク・カーニー国連機構問題担当特使はGFANZを強力に主導する ⓒAFP=時事

 10月末から11月にかけて英グラスゴーで開かれた第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は、金融システムや企業経営に大きな影響を与える。会議で合意された「1.5度目標」は金融機関と企業が目配りしなければならない領域を広げ、リスク管理の在り方も変えていくだろう。キーワードは「1.5度」と「スコープ3」だ。

 COPには毎回参加しているが、今年は政府関係者や環境団体、非政府組織(NGO)などの常連だけでなく、新しい顔ぶれが目につく。銀行や保険、資産運用会社など金融機関の面々だ――。グラスゴーに集った多くの人たちは、こんな感想を口にした。

 環境問題と金融の関係はなんら目新しいものではない。特に先進国から途上国への脱炭素化の支援や、異常気象による経済被害の補償など、お金の問題は常に議題の一つだった。

 COP26でも支援や補償は焦点だったが、政府主導の議論はまとまりに欠け、めぼしい成果は多くなかった。新型コロナウイルスの脅威が広がり、ロックダウン(経済封鎖)下の景気対策や疫病対策などで先進国の財政も苦しい。脱炭素や地球温暖化阻止の理念は共有しつつも、「ない袖は振れない」というのが各国政府の胸の内だ。

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