フランス大統領選で急浮上したペクレス氏(C)AFP=時事

 

 フランス大統領選は4月の投開票を前に、多少意外な対決構図に流れつつある。

 当初多くの市民や識者が予想したのは、現職のエマニュエル・マクロンと右翼「国民連合」党首マリーヌ・ルペンが競い合うという、前回2017年と同じ図式だった。ルペンがどこまで迫れるかが、関心の中心だった。

 枠組みが変化したのは、2021年夏に右翼系評論家エリック・ゼムールの参戦が取りざたされ始めてからである。9月以降、挑発的で過激なゼムール発言がメディアを賑わすにつれ、ルペンの人気は降下し、右翼支持層を2人で分け合うようになった。

 これに、ドゴール派の流れを引き継ぐ右派本流「共和主義者」(LR)で一番人気の元労相グザヴィエ・ベルトランを含めた4人が、選挙戦の主役となると予想されるに至った。

 しかし、右派の候補を決める12月の右派予備選を勝ち抜いたのは、ベルトランでなく、伏兵のヴァレリー・ペクレスだった。そのままペクレス人気は急上昇し、大統領選の決戦でもマクロンを破る、との世論調査結果が出るに至った。

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