2022年、「宇宙」が安全保障新時代の焦点に

執筆者:鈴木一人2022年1月1日
2020年5月に新設された航空自衛隊宇宙作戦隊の隊旗。宇宙安全保障の本格的な一歩 (C)時事

 安全保障を専門とする研究者や実務家にとって、2022年の焦点となるのは、年末に発表されると目されている、新たな国家安全保障戦略であろう。

 2013年に策定された現行の国家安全保障戦略は、約10年前の安全保障環境を前提としているが、この10年の間に中国の台頭やミャンマーのクーデターなどにみられる民主主義の後退、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制の確立など、大きく変化しているため、新たな国家安全保障戦略を策定する必要はより高まっている。

 そんな中で、新国家安全保障戦略に組み込まれていくとみられているのが、宇宙安全保障の問題である。

 日本は長らく、宇宙開発は「もっぱら平和利用に限る」とする1969年の国会決議によって、宇宙と安全保障は切り離されてきた。そのため、防衛省・自衛隊は宇宙システムを用いない装備の開発や、部隊の編制を考えていかなければならなかった。

 しかし、2008年に「宇宙基本法」が制定されて以降の日本の宇宙開発は、

「国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」

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