東シナ海で操業する中国漁船(写真提供:筆者)

生産量は最盛期の3分の1

 日本漁業は断崖絶壁に立たされている。かつては輸出産業として光り輝き、日本経済を力強く支えてきた日本漁業だが、今や見る影もない。南氷洋捕鯨などで鳴らした大洋漁業が経営したプロ野球球団、大洋ホエールズも、いつの間にかインターネット関連企業がオーナーとなった。

 海面漁業生産量は、イワシの豊漁というアシストがあり、1984年に1282万トンに達するものの、その後は低迷。2019年には414万トンにまで縮小し、最盛期の3分の1での低空飛行を続ける。しかも、この生産量には養殖業によるものが含まれており、漁撈船による漁獲は320万トンレベル(2019年)にまで落ち込んでいる。

 食用魚介類の自給率については、漁業が外貨獲得産業であった1950年代から60年代にかけては100%を超えて推移。1964年には重量ベースで113%にもなっていた。しかし、農林水産省が2021年8月に公表した最新データでは、57%(2020年度)と往時の勢いは失われた状況となっている。

 確かに、農畜産物等を含めた食料全体の自給率が過去最低水準の37%(2020年度、カロリーベース)と比べれば、漁業はまだ“踏ん張っている”と見えるかもしれない。だが、その苦悩は深く、多岐にわたる。

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