後藤 これから中国に待ち受けるのは「産業立地の転換」という試練です。

 先端産業は確実に脱中国を図り、先進国に回帰しています。半導体や電子部品、電子機器などでは、研究開発機能も含めて自国に戻す動きになっています。これはいわば、かつて存在したCHINCOM(対中国輸出統制委員会)の復活であり、「中国の時代」の1側面の終焉でしょう。

「産業立地の転換」という試練

 中国で生産することが最も困難になるのは、ミドルテック、すなわちPCやスマホ、ネットワーク機器など汎用の電子製品群でしょう。こうした製品を中国で組み立てていたらアメリカや同盟国のマーケットで受け入れられなくなる恐れがある。少なくともアメリカの政府調達からは排除されるからです。

 かつて世界のノートパソコンの90%を組み立てていた中国ですが、HP(ヒューレット・パッカード)やデルが組み立てを委託していた台湾系のEMS(電子機器受託製造サービス)は工場を第三国、主に東南アジアや台湾に移しています。PCの次はスマホで、ネットワーク機器は先行して中国を脱出しています。中国で数百万人の雇用を生んでいたミドルテックの電子機器の組み立て工場が消えれば、雇用の喪失、失業率の上昇につながります。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。