サイバー攻撃を受けたウクライナ外務省のウェブサイト(C)Reuters

 

ウクライナ政府機関にサイバー攻撃

 2022年1月14日、ウクライナの政府機関のウェブサイトにこんなメッセージが表示された。

「最悪の事態に怯えておけ」

 その前日から、ウクライナ政府の約70の機関がサイバー攻撃を受けた。そして公式サイトは内容が改竄されてしまい、そこにハッカーが上記のメッセージを表示させたのである。

 ハッカー集団が誰の指示でサイバー攻撃を行ったのか、100%の確証はまだないが、ロシア側からの攻撃である可能性が高いと見られている。ただウクライナ政府機関である戦略通信情報セキュリティセンターは、「この攻撃は、ウクライナとNATO(北大西洋条約機構)の未来についてのロシア側との交渉が決裂したことと関係がある」と声明を発表した。

 それに呼応して、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も、サイバー防衛においてウクライナとの連携を強化すると発言。ロシアを見据えて、マルウェア(ウィルスなどの不正プログラム)に関する情報共有も進める合意に署名すると述べている。皮肉なことに、ロシアからと見られるサイバー攻撃が、ウクライナとNATOをさらに近づける結果になっている。

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